不採用理由を聞く権利

まず、私の経験談を聞いてください

「不採用の連続で本当に困っている。今後の就職活動に生かしたい、絶対に恨まないから教えてくれ」と仰るのでー

 

面接担当者モフジマ モフ嶋
「前の会社の悪口が多かったので、ああ、うちに来ても同じような感じだろうなーと思いまして」
40代面接希望者 チンピラ主婦
「はぁ?お前に何が分かるんだよ!勝手に人の事を決めつけんじゃねーよ!」

と逆ギレされて1時間ぐらい暴言を吐き続けられた事があります。とりあえず、不採用理由を伝えるという行為は かなり危険な事に間違いはありません。

 

で、過去の失敗にこりて不採用理由の通知などしていないし、今後もする予定はない私ですが

権利だ義務だという言葉を並べて一方的に要求ばかりするのは論外だと思いますし、このような具体的ニーズを目の前にして、「無理な理由」「やらない理由」ばかり並べるのもどうかと思います。

ここは一つ、win-winな何かを模索するのがオシャレな大人というものではないでしょうか?

 

ネット上に転がっている議論はこんな感じ

ライターのイケダハヤト氏が多くの意見を代弁するような記事を書き、結構なバッシングを受けておられたようです。

「不採用の理由」を伝えるのは、企業の社会的責任ですよ

ぼくも60社くらい選考受けたので、これはよく分かりますね…。お祈り続きだと、自分の存在意義を否定されたような気分になります。

関わってくれた志望者の気持ちを、「会社というのは『そういうもの』だから」という理由で排除するのは、人間として未熟な態度です。ブラック企業問題に見るように、「会社というのは『そういうもの』だから」、人間の気持ちを尊重することを忘れた組織は危険です。

明確に理由が語れないのなら、「ちょっとうまく説明できないんですが、あなたとうちの企業文化はフィーリングが合わないので、今回は申し訳ないですが、ご縁がなかったことにさせてください」と言えばいいんです。真摯に伝えれば、企業への就職の際には「そういうこともある」ということを、彼は理解してくれるでしょう。

(イケダハヤト氏のブログ 上記リンク先より引用)

 

権利や義務という言葉に加えて、人間としてどうかという道義的な理由をもって情報開示を謳っておられます。具体的な方法論については、書いてはおられますが現実的ではないですね。

 

イケダ氏の記事に対する反応はどのようなものか

 批判されている方の内容を要約すると下記の通り(多数派)

  • 聞く権利など法的に存在しない。
  • 企業側にメリットがなく、リスクが大きい。コストがかかる。
  • 不採用になった方が自社のお客様にもなる可能性もある。不快な気分にさせるわけにはいかない。
  • 新社会人に世間の厳しさを教える良い機会であり、本人の為にもなる。
  • 相対的評価の結果なので、不採用になった個人だけを捉えて理由を述べる事は出来ない。
  • 「不細工だから」など道義的に伝えられない内容が多い。
  • 知ったところで何か出来るわけでもない。知らぬが仏という言葉もある。
  • 甘えるな。他人にしてもらう事を当然と思うな。

正論。ごもっともな話です。そして、賛否はともかく現状はこのような論理で世の中が出来あがっております。

 

他、前向きな意見は下記の通り(少数派)

  • ニーズは確実にあるのだから有料のサービスとしてはどうか
  • 応募者を増やす為の施策として予算を組んではどうか

 

構造としては善悪論

不採用理由を通知しないのは。回避不可能だから必要悪

 

では、提案です。

企業が主体である以上、企業利益を抜きにした方法論は、実行される事のない机上の空論になります。「可能」とは「企業利益を確保した上で」の話になります。(法規制する場合を除く)

 

就職活動を助けるデータを提供する「有料サービス」として始める

えー・・・すいません、先述の「前向きな意見」そのまんまで自分の意見が少な目なんですけど

企業としてのメリットは、求人応募者を増やせる事。企業の知名度とイメージの向上。今やれば目立てて宣伝効果大。有料にする事でコスト面はクリアー。

大手銀行のような元々就職先として人気があるところは全くやる意味ありませんが、そうでない企業で人材確保に熱心なところは検討する価値があるプランである。

 

もしもし?デメリットどーするの?

いきなり企業全体で行うにはリスクが大きいので、一部業種限定などでテストを繰り返しながら最適解を求める形になると思いますが、

  • このサービスの主旨や注意点を説明し同意を得る事。「道義的に問題がある事柄には触れられません」「あくまで比較検討の結果です」「不採用の理由なので否定的な内容になります」など。
  • 担当者がスタンドプレーで事故らないよう、回答は用意された項目にチェックを入れる程度のものに留め画一化する事
  • 書けない理由が多く、大きな目安程度にしか役に立たないような気がするので相応の安めな価格設定にする事

という感じでスタートを切れるのではないでしょうか。癌の告知と多くの共通点がある気がしますのでノウハウを流用しても良いかもしれません。

 

お国主導ですすめる手もある

この場合、問答無用の強制になるので企業のメリットもデメリットも考える必要はありません。(でも、これは困るなー)

現在、ハローワークからの求人応募者に対しては、不採用理由を記載してハローワークに返信する事が義務付けられています。ハローワークさんはそれを求職者へのアドバイスなどに生かしておられるようで、考えてみればイケダ氏や多くの求職者の思いは、すでに一部で実現してるんですね。(でも、そんなに有効な回答は得られてない感あり)

 

最後に

不採用者に対する教育という意味においては、面接巧者を増やすだけでホントの社会貢献にはならない気がします。 しかし、不採用になった方の気持ちに企業側が大なり小なり接するという行為自体が、長い期間を経る事で良い社会規範を作っていくのではないかとも思います。

 

※ でも、うちの会社はやりません。